アパレル業界の未来を読み解く:激動の時代を乗り越える経営戦略
- yoshikonakamura
- 2025年12月2日
- 読了時間: 20分
*本コラムは、2025年6月19日に実施した「儲けを創る事例満載!アパレル経営セミナー」の内容を抜粋したものです。
第一部 アパレル業界の未来戦略:トランプ関税と中国市場の真実
司会: 本日は、アパレル業界の未来について深く掘り下げていきたいと思います。特に、地政学的な動向、中でも「トランプ関税」が業界に与える影響について、専門家である河合さんにお話を伺います。河合さん、よろしくお願いいたします。
河合: よろしくお願いします。
司会: まず、多くの企業が懸念しているトランプ関税についてですが、アパレル製品への影響はどの程度だとお考えでしょうか?
河合: 新聞報道などでは、トランプ関税の今後について様々な憶測が飛び交っていますが、実際にはトランプ氏と中国との間で既に話が進んでおり、当初言われていたような145%という信じられないような高関税ではなく、中国に対しては25%に落ち着く方向だと見ています。
司会: 25%ですか。他の国々への影響はどうでしょう?
河合: トランプ関税の主なターゲットは明らかに中国です。その他の国々については、単純に関税をかけすぎると、現在アメリカで進行中のインフレをさらに加速させてしまいます。そうなると、アメリカ国民が結果的に製品価格の上昇分を負担することになるため、そこまで大きな影響はないだろうと考えています。また、アパレル製品の製造業がアメリカに戻ってくることは考えにくいので、そこまで心配する必要はないというのが私の見解です。
司会: アパレル製品の製造は、やはり人件費の安い国々で行われることが多いですものね。
河合: その通りです。アパレル製品は、発展途上国の熟練した手作業で作られるのが一般的で、先進国のほとんどが輸入関税をかけています。例えば、日本でも元々8%から10%程度の関税がかかっていました。中国の繊維製品は質が高く、スピードも早いです。一方で、バングラデシュなどで生産する場合、初回取引は断られることが多く、ロットも大きく、リードタイムが半年から1年にも及ぶため、追加生産が非常に難しいという現状があります。これはまさに「丁半博打」のようなものなのです。
司会: では、アメリカは中国からの輸入を完全にシャットダウンすることはできない、ということでしょうか?
河合: 人間が必ず着るものである以上、完全にシャットダウンすることはありえません。現在、中国からアメリカへの繊維製品の輸出は40%ほど減少していますが、中国なしではアメリカの人口をカバーできるほどの繊維製品を供給することは不可能です。手作業で製品を作る産業がアメリカに戻ってくることも考えにくく、ニューヨークで高級品が一部作られているとしても、一般のアメリカ人が着る服までカバーできるとは思えません。何らかの妥協点が見出されるでしょう。
司会: 最近、SheinやAliExpressのような中国発の激安ECサイトが人気ですが、これらへの関税の影響はどうでしょう?
河合: SheinやAliExpressのような中国の「激安系」アプリは、小型の小包で、請求書の合計額が1万円以下のものが中国からアメリカへ個別に配送されていますが、おそらくこれらにも関税がかかってくると思われます。ただし、アパレル製品の関税は完成品の輸入価格、つまり仕入れ価格にかかるもので、販売価格ではありません。仕入れ価格の25%が関税としてかかったとしても、最終的な市場価格への影響は約2〜3%の値上げ程度に収まります。
司会: その程度の値上げであれば、企業としては吸収可能なのでしょうか?
河合: はい。2〜3%程度の原価上昇であれば、在庫管理をしっかりコントロールすることで十分に吸収できる範囲だと考えています。例えば、ユニクロさんも実際に販管費を2〜3%増やして対応しています。そもそもSheinやAliExpressは非常に安価なので、そこまで大きな影響はないだろうと思います。
司会: トランプ関税がアパレル業界全体に与える影響は、思ったよりも限定的だということですね。では、日本国内のアパレル市場についてはいかがでしょう?
河合: 日本市場は、それ以上に高齢化が進んでいます。平均年齢が50代近くになっており、あと10年もすれば日本人全員が定年という時代が来るかもしれない。そうなると、おしゃれな服が売れるという気があまりしないというのが正直なところです。
司会: 国内市場が縮小傾向にある中で、成長の機会はどこにあるのでしょうか?
河合: 世界的に見ると、東南アジアが非常に成長しています。アパレルは人口が増加している地域では依然として成長産業なのです。特に東南アジア、インド、インドネシアなどは若年層が多く、中国市場も非常に魅力的です。
司会: 生産地のポートフォリオを分散させる「チャイナプラスワン」も重要になりますね。
河合: まさにその通りです。ユニクロさんも「チャイナプラス東南アジア」という戦略を取っていますね。各国の生産地は、アメリカとの取り決めも異なりますので、そういった点も考慮しながら分散を進める必要があります。
司会: 中国市場についてもう少し詳しく伺えますか?経済状況や消費者の動向は?
河合: 中国経済は現在、非常に厳しい状況にあります。若年層の失業率も20〜30%と高く、中国人の購買行動も変化しています。かつてのような「爆買い」は減り、不要なものは買わない、装飾的なものよりもベーシックなものを好むなど、非常に「知的勾配」が進んでいます。ユニクロや無印良品のようなテイストが選ばれる傾向にありますね。
司会: 日本のアパレルブランドは中国市場で苦戦していると聞きますが、具体的な状況はいかがでしょう?
河合: オフライン店舗、つまり実店舗は非常に苦戦しており、オンライン、特にアリババグループのようなECプラットフォームが圧倒的な存在感を持っています。ユナイテッドアローズさんが2025年1月に上海に旗艦店を出しましたが、富裕層には受けが良いものの、ECへの参入は非常に難しい状況です。ユニクロですら自社ECは苦戦しており、アリババグループのTモールのような既存プラットフォームに入り込むと、通行料を高く取られてしまうという問題があります。
司会: その他に中国で苦戦している事例はありますか?
河合: マッシュスタイルホールディングスやマークスタイル、パル(3COINS)、ニトリ、ナイスクラップなど、多くの日本ブランドが中国市場で苦戦し、撤退や縮小を余儀なくされています。中国の経済問題に加え、消費者の目が厳しくなったことが背景にあります。アダストリアのように、日系アニメとのコラボレーションが成功したケースもありますが、本業の服の売上全体に対する貢献度はまだ小さいです。
司会: ユニクロや無印良品は中国で健闘しているイメージがありますが、いかがでしょうか?
河合: ユニクロは、ローカルブランドが1000円以下で売っているようなスウェットやTシャツをメインに販売しているため、中国では「高い」と見られがちでした。しかし、最近は「個店経営」という考え方で、地域ごとの文化や背景に合わせた売り方に変えており、これはうまくいくと思います。ユニクロは世界を地域ごとに分割し、それぞれに社長を置くなど、緻密な戦略をとっています。 一方、無印良品は好調です。無印のコンセプトである、質の良いものに本質的な価値を見出すという考え方が、中国では日本の「和食文化」や「禅」といったイメージと合致し、非常に特徴的だと評価されています。金城武をCMに起用したのも好評だったようです。
司会: 最後に、Sheinのようなファストファッションは今後どうなっていくのでしょうか?
河合: Sheinは米国での上場が噂されていますが、知的財産権の侵害、有害物質の使用、トレーサビリティや労働問題といったSDGsの観点からの課題を解決しない限り、次のステップには進めないでしょう。しかし、売上は今後も伸びると思います。インフレと不況の中で、若者の服の買い方は二極化しており、ベーシックなものは長く着る、装飾的なものはSheinなどで安く買う、という消費行動が増えています。無駄なものを買わないという傾向も強まっていますね。
司会: 河合さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。トランプ関税だけでなく、中国市場やアパレル業界全体の深い洞察を伺うことができ、大変勉強になりました。
河合: ありがとうございました。
第二部 常識を覆す在庫戦略!『在庫地動説』で導くアパレル経営の新時代
司会: 第2回は、在庫管理の常識を覆す「在庫地動説」について、ゴールドラットジャパンの飛田さんにお話を伺います。飛田さん、本日はよろしくお願いいたします。
飛田: よろしくお願いします。皆さんからは「トビー」と呼ばれています。私は元々宇宙飛行士を目指してアメリカで博士号を取得し、科学者として様々な知識を培ってきました。現在はゴールドラットグループで17年ほど活動しており、「科学的思考法で時代をアップデートしていく」ことを人生のミッションとしています。その中で特に注目しているのが、在庫マネジメントです。
司会: 在庫マネジメントというと、コスト削減や効率化が主なテーマになりがちですが、飛田さんのアプローチは違うのですね。
飛田: はい。製造原価を最小化するようなオペレーションではなく、在庫は「儲けを最大化するためのもの」という考え方が重要です。各部署が連携し、会社全体で最適化されたオペレーションを目指すことで、企業はもっと良くなると啓蒙しています。この考え方のベースとなっているのが、世界で1200万部を突破したベストセラー本『ザ・ゴール』で知られる「制約理論(TOC)」です。Amazonの創業者も自社運営のバイブルとして幹部全員が読んでいるほど、世界中の名経営者や著名学者が学んでいる理論です。
司会: その制約理論と在庫管理を組み合わせたのが「在庫地動説」ということでしょうか?
飛田: その通りです。「在庫地動説」は私の造語なのですが、この考え方を導入することで、これまで未解決の課題とされてきた「売り逃しと過剰在庫のジレンマ」を解決できると考えています。私たちは、これを題材にした書籍『在庫管理の魔術』(旧『クリスタルボール』)も出版しています。売れ残りも売り逃しも、どちらかを選ぶのではなく、両方を減らすことができないか、というのが今日の議論のテーマです。
司会: 「地動説」という言葉を使うのは、何か意図があるのでしょうか?
飛田: ええ。歴史上の「天動説」と「地動説」の概念に例えると、在庫問題の根深い原因が見えてきます。古代ギリシャのアリストテレスやプトレマイオスが提唱した「天動説」は、地球が宇宙の中心であり、星々がその周りを回るという考え方でした。これは聖書の記述や、人間が特別な存在であるという宗教的・心理的な受け入れやすさから、長く支持されていました。しかし、惑星の逆行運動や明るさの変化など、観測結果と矛盾が生じました。 これに対し、ガリレオ・ガリレイらが提唱した「地動説」は、地球は宇宙の中心ではなく、太陽の周りを回る惑星の一つに過ぎないという考え方です。これにより、観測結果をよりシンプルかつ正確に説明でき、未来予測も可能になりました。
司会: それを在庫管理に当てはめるとどうなるのでしょう?
飛田: 現在のアパレル業界における在庫問題が永遠に無くならないのは、「在庫天動説」とも言える古い教えや信念に囚われているからではないかと考えています。例えば、「需要予測はもっと当たるようになるはずだ」「目標在庫日数を決めれば適正在庫をコントロールできる」「真面目に働けば利益はついてくる」といった考え方です。これらは心理的に受け入れやすく、実際、在庫マネジメントの標準的な考え方として教科書にも載っています。
司会: しかし、現実を見ると矛盾が生じていると。
飛田: まさにその通りです。儲かっている会社がある一方で、多くのアパレル企業が低い利益率に甘んじているという矛盾があります。1960年代からある補充ロジックや定点発注、在庫日数固定法といった手法は、コンピューターの性能が飛躍的に向上し、様々なデータを取得できるようになった今でも、「需要予測に困らなくなった」「適正在庫をコントロールできるようになった」という話は未だに聞きません。このことから、考え方の土台に脆弱性があると考えています。
司会: 具体的にどのような問題が起きているのでしょうか?「在庫天動説の地獄絵図」と表現されていましたが。
飛田: 過剰在庫は、人の判断が介在することで発生しやすいです。人は「迷惑をかけたくない」「怒られたくない」、あるいは「売れる商品を確保しておきたい」という心理から、在庫を多めに持ちがちです。また、伝言ゲームのような情報のやり取りで間違いが生じることもあります。 そして、教科書に載っているような補充ロジック、例えば定点発注法や在庫日数固定法は、実はシステム的に過剰在庫を作り出してしまうことが分かっています。これらの方法は、需要が安定している場合はうまくいくこともありますが、そうでないケースでは機能せず、結果として設定した在庫日数を大幅に超える在庫を抱えることになります。
司会: 在庫の偏りも大きな問題だと伺いました。
飛田: 在庫配分がうまくいかない、発注時の需要予測が当たらないといった問題も深刻です。結果として、一部のアイテムは過剰在庫になり、別のアイテムは欠品や売り逃しが起こります。これを「在庫の偏在」と呼びます。チェーンストア全体では在庫があるのに、特定のお店には在庫がないという状況が生じ、機会損失が増えてしまうのです。特に目が届きにくい非大型店でのダメージが顕著になります。 過剰在庫が発生するとバックルームがパンパンになり、商品探しに時間がかかり、ディスカウント販売を余儀なくされるため、プロパー消化率が下がります。お客様も「あのブランドはセールになる」と学習してしまい、長期滞留在庫は処分費用がかかり、評価損につながります。さらに、売れる商品があっても予算(OTB)が枯渇して仕入れられないという悪循環に陥ります。 一方、売り逃しは売上機会の損失であり、こちらも利益が思うように稼げない原因となります。せっかくお客様が来店しても、欲しい商品がない、あるいはバックルームで探している間に顧客が離れてしまうといった状況も頻発します。
司会: 企業も手をこまねいているわけではなく、様々な改善を試みていると思いますが、なぜうまくいかないのでしょうか?
飛田: 多くの企業が、過剰在庫を仕方ないと諦めて売り逃しをなくそうとする(結果、大幅ディスカウントで利益が下がる)、あるいは長期滞留を許容して割引しない(結果、資金効率が悪化し、成長が止まる)、または欠品を仕方ないと諦めて売り切れを許容する(結果、顧客の失望を招き、ブランド価値が低下する)、さらにはダイナミックプライシングでマークダウン販売を前提とする(結果、プロパー消化率は上がらず、利益改善もわずか)といった「脱出の試み」をしています。しかし、これらはどれも根本的な解決には至らず、別の問題を引き起こすか、あるいはコストがかかるばかりで効果が見込めないことが多いのです。
司会: 問題の根源はどこにあるとお考えですか?
飛田: まず、「人の働き方」です。ツールを与えればより良いオペレーションができると思いがちですが、人が作業をする以上、データが見える化されても分析・判断・伝達には手間がかかり、伝言ゲームのような間違いも発生します。また、「怒られたくない」「迷惑をかけたくない」という心理から、どうしても在庫は多めに持っておこうという現象はツールがあっても変わりません。皆、会社を良くしようとしているのに、結果として資金を枯渇させてしまうという矛盾が起きているのです。 次に「補充ロジック」です。教科書通りの定点発注や在庫日数固定法は、需要が安定しているケース以外では数学的に機能しないことが検証済みです。需要は常に変動しているのに、ルールや日数を固定してしまうため、変化に非常に弱いのです。 「在庫配分」も同様です。販売が店舗で起こるからと店舗に十分な在庫を供給しようとすると、店舗間で在庫の偏在が起きてしまいます。これは「木を見て森を見ず」の状態であり、会社全体のリスクを高めます。 そして「需要予測」です。AIを使っても、未来の先になればなるほど、高い精度で予測することは不可能です。これはカオス理論でも証明されていることです。「予測は嘘よ」と覚えておいていただけると良いでしょう。
司会: これらの欠点をすべて解消し、「あるべき場所に適切な在庫がある」という理想的な状況を作るのが「在庫地動説」なのですね。
飛田: はい。私たちが提唱する「在庫地動説」は、まさに制約理論という経営理論と最先端のAIテクノロジーの組み合わせで開かれる未来を示しています。ガートナー社の調査でも、サプライチェーン分野でAIを活用すべき最もビジネス価値が高く、実現性も高い領域は「在庫最適化(Inventory Optimization)」だとされています。
司会: 具体的にどのようなアプローチで実現するのでしょうか?
飛田: 私たちのソフトウェア「Onebeat」は、AIエージェントとして、売れる場所に商品が自律的に、つまり「勝手に動いてくる」ことを実現します。これは「ダイナミックプライシング」ではなく「ダイナミックロケーション」と呼んでいます。発注、納品、倉庫からの補充、店舗間の転換移動など、在庫に関する全てのプロセスをAIが制御します。 人は「売り場作り」や「接客」といった、人間にしかできない仕事に時間を使うべきであり、ツールの奴隷になるべきではありません。複雑かつ大規模な在庫最適化計算はAIが得意です。 補充ロジックについても、従来の固定的な手法ではなく、AI時代の新しいロジック、つまりダイナミックロケーションによって、在庫をあるべき場所に自律的に動かすことが非常に重要です。店舗の販売状況と在庫数をリアルタイムで把握し、現実の変化に同期して在庫供給を行います。その鍵となるのが、倉庫に一部の在庫を止め置き、売れた店舗に即座に配るというオペレーションです。これにより、過剰在庫の発生を根本から防ぎ、売り逃しを最小化することができます。
司会: 需要予測への依存度も下がるということですね。
飛田: その通りです。過度に需要予測に軸足を置くと、必ず当たりません。ただし、当てやすい予測(例えば、個別の商品ではなく倉庫レベルでの集約された予測、長期ではなく短期の予測、セールのような既知の大きな変動の予測)には知見を使うべきです。そして、それをリードタイムの短縮と組み合わせ、全体最適のオペレーションに同期させることで、需要変動に対応することが可能になります。 「在庫地動説」では、これまでの「地球(固定的なルール)」を中心に考えるのではなく、「太陽(お客様の購買スピード、つまり売れたスピード)」を中心に据え、発注、初回配分、補充、展開移動、売り切り対応、イベント準備など、全てを調和させる世界を目指します。これは、企画から購買、生産、物流、販売まで、部署間を繋ぐ「DX」を意味します。
司会: なるほど。まさにアパレル経営の新しい時代を開く可能性を感じます。本日はありがとうございました。
飛田: ありがとうございました。
第三部 在庫管理革命のリアル:AIが導く驚異のROIと組織変革
司会: 第3回は、これまでの対談で伺ってきた「在庫地動説」が、実際にどのような成果を生み出しているのか、具体的な事例を交えながら深掘りしていきます。飛田さん、よろしくお願いいたします。
飛田: よろしくお願いします。新しい考え方やシステムを導入する際、「本当にうまくいくのか?」という疑問や不安はつきものです。今回は、実際に導入された企業の声をご紹介したいと思います。
司会: 導入当初は、やはり抵抗や懐疑的な声もあったのでしょうか?
飛田: まさにその通りでした。あるディストリビューターの方の事例では、最初は「本当に信じられない」「週末には絶対に在庫が足りなくなるだろう」と心配されていました。店舗からも「AIなんて信じていいのか」という声があり、社内でも「何かわからないことをやっているな」という雰囲気があったそうです。 しかし、結果は大きく改善されました。お店に行っても「ストックが大変」という状況は劇的に解消され、今ではそれが当たり前になっています。本当に売れる時にだけ商品を積めば十分売れる、ということを実感されているそうです。以前は「売るの?」と言われていたような過剰な在庫も、今では「こんなストックあって売ってたの?マジで?」というくらい意識が変わったと言います。データに基づいたシステムの推奨が、いかに従来のやり方が無駄だったかを教えてくれ、「自分がやっていたことは逆行していたんだ」と気づかれたそうです。最終的な消化率も売上も非常に良く、「あれ、売れてるじゃん」と驚かれたとのことでした。
司会: 劇的な変化ですね。IT部門の方からはどのような声がありましたか?
飛田: 別の会社のIT部門の担当者の方からは、まさに驚きの声が聞かれました。在庫地動説を導入していく中で、将来の利益見通しがどんどん正確になり、実際に在庫を動かす前に「これをやったらこれくらい儲けが増えますよ」という数字が提示できることに非常に驚かれたそうです。
司会: それは非常に説得力がありますね。具体的な数字の事例はありますか?
飛田: はい。ある子供服ブランド「ジェニィさん」の事例です。子供服は130cmから160cmまでサイズ展開が多く、非常に難しいビジネスなのですが、当社のシステム「One Beat」のシステム利用料が月額40万円に対し、粗利で月額250万円増加しました。これは、導入からわずか1ヶ月後の数字です。ROI(投資収益率)はなんと6.3倍を達成しました。「AIが出す数字は現実的じゃない」と言われたものが、実際には現実の利益として現れたわけです。
司会: IT投資でこれほどの利益が得られるのは珍しいですね。
飛田: まさにその通りで、アメリカのメディア「CIO Review」でも、「IT投資で儲かるのはなかなか珍しい」と取り上げていただき、在庫管理ソリューションのトップとして表彰されました。このシステムは、単に推奨が出るだけでなく、それに基づいてデータに基づいた賢い意思決定と、それに付随する作業が日々できるようになる点が非常に大きいと考えています。
司会: 「在庫地動説」がもたらす総合的なメリットを改めて教えていただけますか?
飛田: 「One Beat」のようなAIによる「ダイナミックロケーション」と、TOCの知見を組み合わせることで、多くの問題が解決されます。 まず、在庫配分の問題ですが、一時的に過剰在庫になることはあっても、それが手遅れになる前に売れる場所に自動的に動き続けるため、その場所でプロパーで売れる機会が増え、滞留在庫が減ります。これにより、バックルームがすっきりし、販管費も削減できます。 次に、売れる場所に自動的に商品が供給されるため、欠品のない補充が可能になり、サイズや色の欠けによる売り逃しが減少します。 これらの自動化により、人の手間が減り、属人性が低下し、人材不足の緩和にも繋がります。人は「人ならではの仕事」、つまり接客や売り場作り、顧客との関係構築などに時間を使えるようになります。
司会: サプライヤーとの関係性にも良い影響があるのでしょうか?
飛田: はい。TOCの知見を活用することで、サプライヤーからの供給リードタイムも短縮できます。需要予測が完全に当たらなくても、タイムリーな再供給が可能になり、初回から大量に発注する必要がなくなります。これにより過剰在庫が減るだけでなく、トレンドに素早く追随できるため、売上増加にも繋がります。 従業員も、コンピューターの奴隷になるのではなく、自己成長に時間を費やせるようになるため、従業員満足度の向上にも貢献します。
司会: それらが最終的に、企業の利益にどう繋がるのかを教えてください。
飛田: 売り逃しが減ることでプロパー消化率が向上し、お客様の「がっかり」が減ることでブランド価値が向上します。戦略的なアイテムを店頭に常に置けるようになることで、売上、粗利、そして最終的な利益へと繋がります。そして、利益が増えれば、給与アップの原資も増えるという好循環が生まれるのです。 私たちは、このような未来をぜひ皆さんと一緒に作っていきたいと考えています。制約理論や在庫補充のアルゴリズムの詳細、需要予測の活用法、サプライヤーとの連携、コスト、小規模な在庫への適用など、今日詳しく話せなかったことも多々あります。ご興味があれば、ぜひお気軽にお問い合わせいただければ、無償トライアルなども含めてご相談に乗らせていただきます。
司会: 飛田さん、3回にわたる非常に示唆に富むお話をありがとうございました。在庫管理の常識が大きく変わる可能性を感じました。
飛田: ありがとうございました。
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