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在庫切れを体験した消費者は、店舗で答えた通りのことをしない?

消費者が店舗で現場の店員に言うことと、実際の行動には乖離があります。


アパレル企業の3店舗での出口調査(約500サンプル)と、約1か月後の電話調査(約200サンプル)で在庫切れの際の消費者行動に迫ったオハイオ州立大学のジン・ウォルター教授らの論文“A comparison of actual and intended consumer behavior in response to retail stockouts”(小売店における品切れに対する実際の消費者行動と意図された消費者行動の比較)では、消費者行動の選択肢を以下の3つに分類して、調査しています。


・Substitute(その店舗内で代替品を買う)

・Delay(購入を遅らせ、次に来た時などに買う)

・Leave(別の店で買う、そもそも購入を止める)


店舗での出口調査に加えて、1カ月後の電話調査を追加したのがミソです。実際の行動を把握するために相当な手間をかけた研究です。


以下のような結果が得られました。


・出口調査で消費者が表明した行動と、1カ月後の行動は必ずしも一致しない。

・「また次に買う(Delay)」と出口調査で答えた人は、実際は競合店舗に流れるか、そもそも買うのを止める(Leave)傾向が強い。

・実際は、在庫切れに直面した人の83%が競合店舗を選ぶか、購買そのものを止める(Leave)。

・時間の価値を高く感じる人(※所得が高い人など)は、競合店舗を選ぶ可能性が大きい。


このように、店舗などの現場が消費者の行動を十分理解できるかというと、必ずしもそうではないというのが(かなりの手間のかかった)研究で示されています。


<参考文献>

Zinn, W., & Liu, P. C. (2008). A Comparison of Actual and Intended Consumer Behavior in Response to Retail Stockouts. Journal of Business Logistics, 29(2), 141–159.


https://doi.org/10.1002/j.2158-1592.2008.tb00090.x 

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