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ROI

アパレル・チェーンストアの重要なROIとは?

アパレル企業における 重要なROIは、「経営指標」観点 での重要な在庫や店舗、販促、人件費などのあらゆる投資に対して「限られたリソースでどれだけ利益を上げているか」を評価する上で不可欠です。

 

【1】在庫投資回収率(GMROI)

·       定義:在庫1円あたりが生み出す粗利益

·       式:粗利益 ÷ 平均在庫高(原価)

·       重要性:在庫効率の最重要指標。売れ残りや値引きによる利益圧縮を防ぐ目安に。

【2】プロパー消化率(定価販売率)

·       定義:定価で販売できた在庫の割合

·       式:定価売上 ÷ 投入在庫(仕入れ)

·       重要性:高利益率の販売がどれだけできたかを見るKPI。利益貢献度に直結。

【3】坪効率(坪当たり売上高)

·       定義:店舗面積あたりの売上

·       式:売上高 ÷ 売場面積(坪数)

·       重要性:店舗投資の回収効率を示し、不採算店舗の見極めにも有効。

【4】SKUあたり利益

·       定義:各SKU(品番)単位での利益や売上

·       重要性:MDの精度を測り、SKUの絞り込みや重点投資判断に活用。

【5】顧客獲得ROI(CPA vs. LTV)

·       CPA(獲得単価)とLTV(顧客生涯価値)のバランス

·       重要性:販促やEC投資の費用対効果を見極める。広告効率の最適化に不可欠。

【6】システム、物流、広告投資のROI

·       定義:システム、物流、広告投資に対しての売上/利益のリターン

·       重要性:D2C時代の成長には不可欠な評価軸

【7】店舗あたり営業利益率(Store-level Operating Margin)

·       定義:店舗単位でのPL管理に基づく利益率

·       重要性:不採算店舗の可視化や出退店戦略の意思決定に活用。

 

これらはすべて連動しています。特に「商品在庫という投資が、どれだけ効率よく利益に変換されているか」を評価するための中核指標が多く含まれています。

 

経営指標や在庫運用に関する重要な課題は、以下のように整理できます:

 

【1】指標は見えても「意思決定につながらない」

·       課題:GMROIやプロパー消化率などの数字を「見て終わり」になりがちで、具体的かつ効果的なアクションに落とし込めておらず、現場の評価指標となってしまっている。

背景:経営層と現場(MD・営業・販促)でKPIの捉え方や重要度がズレている。それぞれのKPIを向上させる施策が明確になっていない。

【2】数値の分解・因果分析が不十分

·       課題:「なぜこのROIが改善できないのか」「プロパー消化率が低い原因は何か」が分解されず、属人的・感覚的な判断に頼ってしまう。

【3】在庫データの一貫性・精度の欠如

·       課題:売上・在庫・利益のデータがシステムごとに分断され、正確なROI算出が困難。

    そもそも個々の商品の欠品率や消化率が見える化できていない企業が多い

·       背景:倉庫・店舗・ECでの詳細な在庫情報が統合されていないケースが多い。

【4】短期売上偏重による「プロパー軽視」

·       課題:月次の売上目標達成が優先され、値引き販売に頼ってしまう。結果として粗利率やプロパー消化率が悪化。

·       背景:プロパー販売の重要性がKPIとして正しく共有されていない。

【5】過剰投資 or 過小投資の見極めが難しい

·       課題:「新店舗」「広告」「ECシステム」「在庫」などの投資に対して、どのくらいリターンが必要かの基準が曖昧。

·       :ROIが見えないまま、新規出店やMD枠拡大を進めてしまう。

【6】KPIがサイロ化していて横断的な改善ができない

·       課題:販促は販促、MDはMD、営業は営業で別々にKPIを追い、全体最適にならない。

·       :売れ筋商品の店間移動が迅速に行われず、欠品と滞留在庫が同時発生。

【7】過去データ主義からの脱却が進まない

·       課題:前年実績や感覚による売上計画に基づいた在庫投入・仕入れ判断が依然として強い。

·       背景:店舗やECでの販売ポテンシャルが分からず、成長ありきの商品投入により過剰在庫が発生しがち。

ROI課題の改善策とは?

「数字は取れるが、行動につながらない」「投資の成果を評価できないから、改善ができない」

この2点が根本です。

 

事例?:

システム投資?

 

1.【在庫のリアルタイム可視化と統合】

目的:正しい在庫状況を前提にROIを判断するためのデータ基盤を整備

·       店舗・倉庫・EC在庫を一元管理できるシステムの導入

·       在庫データ×売上×粗利をリアルタイムで分析できる環境を構築

·       商品(SKU)単位でのGMROI・プロパー消化率が即座に把握できる仕組み

2. 【AI・需要に連動した運用プロセスで属人判断を排除】

目的:感覚ではなく「根拠ある投入・移動・補充」を実行する仕組みへ

·       膨大な日々の動きは人手では追い付かない。AIを活用し、SKUごとの売上トレンドの把握・店舗ごとの需要変動を自動計算し、投入配分の判断をルール化・自動化する。

·       これによって、売り逃しと滞留の両方を同時に減らすことが可能となる。

4. 【販売・販促と在庫運用の連携強化】

目的:販売がROI改善につながるように、在庫運用を設計し直す

·       値引き販促ではなく、「プロパー消化率改善」を最重要目的とした販売施策を実行

·       売れ筋のみならずすべての商品の欠品と偏在を防止し、プロパー消化率と最終消化率のための販売機会を最大化するプロセス

·       デジタル販促と在庫アロケーションを連動

プロセス実行の鍵は「属人化の排除」と「全体最適」

単なる現場改善ではなく、経営と現場をつなぐ**“仕組みと文化”の再設計**が本質的な解決策です。

 

経営者へのメッセージ

1. 【リアルタイムな在庫・利益データの統合と可視化】

商品1点ごとのROIを即座に把握できる情報基盤を構築し、投資判断の精度を高める。

2. 【AI・需要トレンドに基づいた自動運用への転換】

感覚や過去実績に依存した在庫判断から脱却し、売れる商品を売れる場所に必要な量だけ配分する。

3. 【販売・販促と在庫戦略の一体運用】

プロパー消化率を最大化する販売プロセスを設計し、欠品・偏在をなくす全体最適の仕組みを構築する。

属人化を排除し、“儲かるオペレーション”を誰がやっても再現可能にすること。それが、全店舗・全商品を利益体質に変える唯一の道です。

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