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需要連動型基準在庫

需要連動型基準在庫設定は、通常、「Dynamic Buffer Management(DBM)」や「Dynamic Target Management(DTM)」と呼ばれ、需要の変化に応じて在庫水準を自動調整するという、より柔軟で高度な在庫管理の手法です。特にTOC(制約理論)に基づいた運用でよく使われています。


■Dynamic Buffer Management / Dynamic Target Managementとは?

●定義

「動的バッファ管理」や「動的ターゲット管理」とは、販売(または消費)データを継続的にモニタリングし、その変動に応じて在庫の目標値(バッファやターゲット)を上下させる仕組みです。

「一定の在庫を持つ」ではなく、需要が増えればバッファが増え、需要が減ればバッファが減るという動的な調整を行います。


■長所(メリット)

需要の増減に自動対応

 季節性や販促による変動に即応でき、在庫切れや過剰のリスクを大幅に低減します。

意思決定がシステム化され、属人性が低下

 在庫量の増減がルールベースで決まり、人の勘や習慣に依存しなくなります。

新商品の取り扱いにも応用可能

 一定期間の実績がたまれば、その後は自動で調整が可能になります。

サプライチェーン全体の在庫最適化が可能

 店舗・倉庫・本部などの在庫を連動させて動かすことで、全体として在庫の圧縮と可用性向上が同時に実現できます。

販売数が少ない(例:10日に1つしか売れない)商品にも適用可能

 サプライチェーン網全体の在庫分布や販売動向を見ながら、ビッグデータ解析に基づく、最適な在庫配置が実現できます。


■短所(デメリット)

初期設定に知識と工夫が必要

 最初のバッファサイズや調整ルールを適切に設計しないと、システムが落ち着くまでに時間がかかるリスクがあります。

システムやデータの整備が前提

 リアルタイムの販売・在庫データが必要であり、古い仕組みでは実現が難しい。

需要急減には対応が遅れることも

 過去の実績に基づくため、急な需要減少には若干のタイムラグが生じることがあります(※ただし静的管理よりは優れています)。


■「在庫日数」との違い

比較項目

Days of Coverage

Dynamic Buffer Management

考え方

現在の在庫が何日分あるかを把握

在庫の「あるべき水準」を動的に調整

基準

過去の平均販売数

実績の変動(傾向・スピード)

メリット

見やすく簡単

需要に即応し、最適化が進む

デメリット

短期変動に弱い

初期設定とシステム整備が必要



このように、DBM/DTMは、「見える化」にとどまらず、「自動制御」まで踏み込んだ手法です。特に複数店舗や多品種を扱う小売業・製造業で効果が大きく、TOCの実践企業やAIツール(例:Onebeatなど)にも組み込まれています。

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